2025年4月14日(月)にMoodle LMS 5.0がリリースされました。
Moodle LMS 5.0は、Moodle 5.Xシリーズ最初のメジャーバージョンで、
今後リリースされるLTS(Long Term Support)バージョンの基盤になります。
私も実際に触ってみたので、その全体像と注目ポイントをまとめてご紹介します。
進化した機能や使い勝手の変化など、アップデートの魅力をぜひ一緒に見ていきましょう。
※本ブログの検証環境はMoodle 5.0+ (Build: 20250417)です。
Aiの強化
利用可能なAIプロバイダに「Ollama AI」が増えました。
カナダ企業のAIプロバイダのようですが、日本では馴染みがないですね…
テキスト生成に関する細かい設定
AIによるテキスト生成関連に細かいパラメータを設定できるようになりました。
これによって、出力の雰囲気や制御を細かく調整できるようになります。
設定可能なパラメータの意味を軽く調べたのですが、なかなか奥が深いですね…
こうやってAIを学習させていくのでしょうか
- top_p
多様性の度合い。出力の自由度を調整できます。1.0で自由に生成、0.3だと選択肢が絞られて堅い感じに。 - max_tokens
出力の長さ。文章のボリューム感をコントロールできます。500なら比較的長文。
※文字数ではなく「トークン数」なので注意。 - frequency_penalty
「同じフレーズばかり出てくる…」を防げます。値を上げるほど繰り返しに厳しくなります。 - presence_penalty
新しい話題を引き出す効果。
値を上げると、未登場ワードを優先的に使うので、アイデア出しやマンネリ脱却におすすめ。
AIアクションの追加
「AIアクション:説明テキスト」が追加されました。
コース内コンテンツの「説明」を生成する機能です。
「要約」と似ているような気がしますが、見比べてみると全然違います。
「要約」では、元の内容から重要な部分だけを抜き出して簡潔にまとめるだけですが、「説明」では、相手にわかりやすく伝えるために補足情報や背景も含めてくれます。

AIポリシー同意状況
AI利用時の承諾状況を一覧で確認することができます。
※拒否したアカウントは表示されず、あくまでも承諾一覧となります。
※CSV出力にも対応。

AI利用状況
誰がAI機能を利用したか一覧で確認することができます。
※CSV出力にも対応。

活動概要
コースに「活動」というタブが追加されました。
コース内に設置されている活動に関する情報を一覧で確認できます。
教師は課題の提出状況や採点の進捗を、学生はTo Doリストや提出期限、評価などをすぐに確認できます。
コース内を何度も移動する手間が減るため、時間の節約になり、効率的に学習・指導を進められるのが魅力です。

問題バンクの機能が大きく進化
Moodle LMS 5.0では、問題バンクの機能改善に特に力が注がれました。
その結果、問題の管理や共有がこれまで以上にスムーズに行えるようになっています。
まだ発展途上の部分も見受けられますが、Moodleのコア機能である問題バンクの進化に向けた継続的な取り組みには、素直に感謝と期待を寄せたくなります。
今後のさらなる改善にも、大いに注目したいところです!
複数コースで問題を活用できます
問題バンクが改良され、複数コース間での問題の利用に関して利便性が高まりました。
※教師権限以上が必要です。また、複数教師間での共有はできません。

小テストの事前生成
小テスト開始前に、あらかじめ問題を生成しておける機能が追加されました。
これにより、大規模な試験が行われる際でも、リアルタイムでの負荷を軽減できる可能性があります。
ただし、この機能を利用する場合、受験時との間にタイムラグが生じるため、小テストの内容を自由に編集することが難しくなる点には注意が必要です。
また、小テストに関連するログの記録方法にも影響が出る可能性があります。
評定ペナルティ
課題提出遅延時等に自動的にペナルティを付けることができます。
※デフォルトでは無効になっているため、サイト全体で有効化が必要です。
※ペナルティはサイト全体で統一ルールになります。
このように、教師が100点とつけたとしても、提出遅延ペナルティ(例:10%)が自動的に引かれてしまいます…恐ろしい!!

通知
通知の受け取りにSMSが追加されました。
デフォルトでは無効になっており、さらに別途SMSゲートウェイの設定が必要です。
その他
- TinyMCEの使い心地が向上しました(細か~いところが修正されているようです)
- 課題の採点一覧のフィルタに「評定済/Graded」が追加されました
- カスタムレポートが複製できるようになりました!これは地味に嬉しい!!
- Moodle LMS4.0以降、TinyMCEがデフォルトエディタとなった為、Attoエディタがプリインストール外となりました。
他にもデフォルトユーザツアーの微修正やH5Pの自動再生に対する改良が行われています。
いかがでしたか?
やはりAIに対する力の入り方が目立ちますが、長年のMoodleユーザにとっては問題バンクの改良に注目がいくのではないでしょうか?
Moodleのコアにして、きわめて複雑な構造を持つ問題バンク。
今回の大規模な改良によって、不安定な部分やバグが見つかることもあるかもしれません。
それでもこの挑戦は、世界中のMoodlerたちが知恵と情熱を持ち寄って取り組んだ、まさにオープンソースの真髄とも言えるプロジェクトです。
細かな不具合があるとしても、それはまだ「伸びしろがある」という希望の裏返しでもあります。
オープンソースは、誰かが無償で差し出した「贈り物」であり、私たちが育てていくべき「みんなのもの」
これからもその進化を楽しみにしながら、敬意と感謝を持って、共に応援していきましょう。