Moodleを運用していて、こんな困りごとはありませんか?

編集権限のない教師が、自分が担当していないグループの課題や教材まで見えてしまって困っている...
例えば、同じコースで「初級クラス」と「上級クラス」が別々に学習している場合、初級クラス担当の先生が上級クラス専用の難しい課題まで見えてしまったり、グループAの先生がグループB専用のディスカッションを読めてしまったりすることがあります。
今回は、この問題を「moodle/course:ignoreavailabilityrestrictions」という権限設定を使って解決する方法を、分かりやすく説明します。
なぜこの問題が起こるの?
Moodleは教育現場での使いやすさを重視して作られているため、初期設定では編集権限のない教師でも、コース内のほとんどのコンテンツを見ることができるようになっています。
これは一般的な教育現場では便利な設定です。メインの先生が作った教材を、サポートの先生も確認できたり、複数の先生が連携して授業を進める際に、お互いの教材を参照できたりします。
しかし、一部の学習者向けの特別課題が、他の担当教師にも見えてしまうなど、この「何でも見える」設定が時にプライバシーや機密性の観点からも問題になります。そこで活用するのが利用制限を無視するパーミッションです。
利用制限を無視するパーミッション
moodle/course:ignoreavailabilityrestrictions
権限とは
この権限の意味を分解すると:
moodle/course:
→ コース関連の権限ignoreavailabilityrestrictions
→ 「利用制限を無視する」
つまり、この権限を持っている人は、活動やリソースに設定された利用制限(グループ制限、日時制限、条件制限など)を無視して、すべてのコンテンツを見ることができるということです。
デフォルトで「編集権限のない教師」への「許可」の権限付与がされているため、編集権限のない教師はほかのグループのフォーラムや課題を見ることができます。
コースごとにパーミッションを設定する
Moodleの優れた点は、コースごとに個別の権限設定ができることです。これにより:
- 厳密な権限管理が必要なコースでは制限を強化
- 従来通りの運用で問題ないコースでは現状維持
- コースの性質に応じて適切な設定を選択
このような使い分けが可能になります。
具体的な設定手順
対象コースにアクセス
権限を変更したいコースに、管理者権限または編集権限のある教師権限でログインします。
対象コースにアクセス
タブから「参加者」→プルダウンメニューの「登録済みユーザ」をクリック→「パーミッション」を選択してください。
パーミッションを選択
権限設定ページで、検索ボックスに「ignoreavailability
」と入力すると、該当する権限項目が見つけられます。
パーミッションを変更
moodle/course:ignoreavailabilityrestrictions
の「編集権限のない教師」の右にあるゴミ箱マークをクリックして、権限を外します。
動作確認
編集権限のない教師のアカウントで、以下を確認します:
- 条件制限が設定された活動が、条件を満たしていない場合は見えないか
- グループ制限がかかった活動が、対象外のグループには見えないか
利用制限との組み合わせ
権限設定だけでは実際の制限は生まれません。Moodleの「利用制限」機能と組み合わせることで効果を発揮します。
主な利用制限の種類
グループ制限
特定のグループに所属するメンバーのみがアクセス可能
- 例:「グループA」の課題は、グループAのメンバーのみに表示
日時制限
特定の日時にアクセス可能・不可能にする制限
- 例:課題の提出期限後は、課題ページを非表示
条件制限
他の活動の完了や特定の成績を条件とする制限
- 例:「基礎テスト」で80点以上を取った人のみ、「応用課題」にアクセス可能
利用制限の設定方法
- 制限をかけたい活動やリソースの設定画面を開く
- 「利用制限」セクションを探す
- 「制限を追加...」ボタンをクリック
- 適用したい制限の種類を選択
- 制限の詳細設定を行う
- 設定を保存
まとめ
- コースの権限設定から編集権限のない教師の「利用制限を無視する」権限のチェックを外す
- グループ制限や条件制限と組み合わせて効果的に活用する
この設定により、教師は自分が担当するグループの活動のみを見ることができ、より適切な権限管理が可能になります。学習者のプライバシー保護と教育効果の向上を両立した、安全で効果的なMoodle環境を構築できるでしょう。