Moodleの設計と開発は「社会構成主義教育学」に基づいています。
今回は「社会構成主義」を背景にした「協働学習」の場を提供する方法として、Moodleの「フォーラム」機能を活用する方法についてご紹介します。
「社会構成主義」とは、「ものごとの意味や知識は社会的なコミュニケーションによって構築される」という考え方です。
「社会構成主義」を背景にした教育アプローチのひとつに「協働学習」があり、「協働学習」では学習者が他者との対話や相互作用を通じて知識を構築することを目的にします。
学生と教師、学生同士など、あらゆるロールの人がつながり、学習を深めるためのツールがいくつか用意されています。
その中でも「フォーラム」は複雑な設定も不要な、手軽に協働学習を提供できる「活動」です。
設定の例
- 1クラスを6グループに分けて、ディスカッションをさせたい。
- 学生からは、他のグループのディスカッションは見られないようにしたい。
- ディスカッションの内容は教師もチェックしたいので、1つのフォーラムの中で管理がしたい。
事前準備
コースに受講生を登録しておきます。
コースの設定
コースのグループモードの設定をします。
- コースの[設定]タブをクリックします。
- [グループ]を開き、[グループモード]を[分離グループ]にしておきます。
※[グループモードを強制する]を[Yes]にすると、コースで設定したグループ設定がすべての活動に強制的に適用されます。強いこだわりがなければ融通の効きやすい「No」がおすすめです。
グループの作成、学生の登録
グループを作成し、受講生を登録します。
※この記事では、フォーラムの参加者をグループごとに管理します。
コース内にグループを作成する方法、作成したグループに受講生を登録する方法については『事例紹介:グループモードの活用』の記事をご覧ください。
- コースの[参加者]タブをクリックします。
- [登録済みユーザ]を[グループ]に切り替え、グループを作成します。
- [登録済みユーザ]に切り替え、受講生にグループを設定します。
フォーラムの作成/設定
フォーラムを作成し、設定を確認します。
- コースに「活動:フォーラム」を追加します。
- [一般]の[フォーラムタイプ]は任意のものを設定します。
- Q&Aフォーラム:学生は他の投稿を読む前に、まず最初に教師の質問に返信する必要があります。
- トピック1件のシンプルなディスカッション:1つのトピックに対して学生全員の投稿を集めたい場合に活用できます。トピックは教師が立てます。
- 各人が1件のディスカッションを投稿する:レポートの相互レビューなどの目的において、学生ごとに個別のトピックを作成したい場合に活用されます。 - [購読および未読管理]の[購読モード]では、フォーラム参加者に投稿内容の通知を送る設定ができます。
- 任意購読:参加者が通知を受信するかどうかを選択できます。
- 強制購読:すべての参加者に強制的に通知が送られます。
- 自動購読:既定で参加者全員に投稿の通知が送付されますが、参加者は設定を解除できます。
- 購読停止:通知は送信されません。
[未読管理]は、未読の新しい投稿に色を付けることができます。 - [モジュール共通設定]を開き、[グループモード]が[分離グループ]になっていることを確認して保存します。
基本の設定は以上です。
とてもシンプルなのでチャレンジしやすいのではないでしょうか。
フォーラムの表示画面(教師)
教師の表示画面はこのようになります。
分離グループを切り替えると、そのグループの投稿だけソート表示することも可能です。
フォーラムの表示画面(学生)
学生は自分が所属しているグループの投稿だけが表示されます。
フォーラムには、他にも[評価]の設定で投稿に対して評価を付ける運用も可能です。
[利用制限]や[活動完了]などの共通設定もできますので、いろいろ試行錯誤しながら学びの提供の場をつくってみてくださいね。