Moodleのプライベートファイル機能は、ユーザーが個人的なファイルを保存し、必要に応じてコース内で活用できる便利な機能です。しかし、組織の規模やストレージ容量、セキュリティポリシーによっては、この機能を制限または無効化する必要がある場合があります。
プライベートファイルとは?
プライベートファイルは、Moodle内で各ユーザーが利用できる個人専用のファイル保存領域です。この機能により、ユーザーは以下のことが可能になります。
- 個人のファイルをMoodle内に保存
- 保存したファイルを複数のコースで再利用
- ファイルピッカーを通じて簡単にアクセス
- コース活動や投稿にファイルを添付
プライベートファイルの特徴
プライベートファイルは各ユーザー専用のファイル保存領域として機能します。
ただし、システム管理上、サイト管理者はユーザーのプライベートファイルにアクセスすることができます。これは、技術的サポートやシステム管理の目的で必要な機能です。
プライベートファイルのメリット・デメリット
メリット
ユーザーにとって:
- ファイルの一元管理が可能
- 複数のコースでファイルを再利用できる
- アップロードしたファイルへの簡単なアクセス
- 個人的な学習リソースの保存場所として活用
教育者にとって:
- 学習者が学習成果物を継続的に蓄積できる
- 複数のコースで同じ資料を再利用しやすい
- ファイルの管理と共有が簡単になる
デメリット
管理者にとって:
- ディスクスペースの消費増加
- ストレージ容量の管理が困難
- セキュリティ上の懸念(機密情報の保存)
- バックアップサイズの増大
組織にとって:
- サーバーリソースへの負荷
- データ管理ポリシーとの整合性
- 個人情報保護や情報セキュリティ規定への対応
プライベートファイルのサイズ制限設定
ストレージ使用量が心配な場合は、ユーザーごとのサイズ制限を調整することで使用量をコントロールできます。
ユーザークォータの設定
各ユーザーのプライベートファイル容量は、以下の手順で制限できます:
- サイト管理 > セキュリティ > サイトセキュリティ設定 にアクセス
- 「プライベートファイルスペース」設定を見つける
- 適切な容量制限を設定(デフォルト:100MB)
クォータ制限の無視権限
特定のロール(教師や管理者など)にクォータ制限を適用したくない場合:
- サイト管理 > ユーザー > パーミッション > ロールを定義する にアクセス
- 対象のロール(例:編集権限のある教師)を編集
moodle/user:ignoreuserquota
権限を 許可 に設定
他の機能への影響
プライベートファイルの容量制限は、以下の機能にも適用されます:
- コンテンツバンク: H5Pファイルなどもユーザークォータの対象
- ファイルアップロード全般: サイト全体のアップロードサイズ制限も確認が必要
プライベートファイル機能の無効化方法
ユーザー数が多い環境や、ディスクスペースに制限がある場合、プライベートファイル機能を無効化することを検討してください。
手順1: プライベートファイルブロックの無効化
- サイト管理 > プラグイン > ブロック > ブロックを管理する にアクセス
- 「プライベートファイル」の項目を見つける
- 「有効」列のスイッチを OFF に設定
注意点: インスタンス数が0でない場合(既にブロックが使用されている場合)は、無効化する前に影響を慎重に検討してください。インスタンス数は、そのブロックが現在使用されている箇所の数を示しています。
手順2: ユーザー権限の調整
プライベートファイル機能を完全に無効化するには、以下の権限設定も調整してください:
- サイト管理 > ユーザー > パーミッション > ロールを定義する にアクセス
- 「認証済みユーザー」ロールを編集
- 以下の権限の 許可 のチェックを外します。
moodle/user:manageownfiles
(自分のプライベートファイルエリアのファイルを管理)repository/user:view
(ユーザープライベートファイルを表示する)
- 変更を保存
学生のみプライベートファイル機能を無効化する方法
教師や管理者にはプライベートファイル機能を使わせたいが、学生だけは使わせたくない場合の設定方法です。
手順1: 認証済みユーザーロールで無効化
- サイト管理 > ユーザー > 権限 > ロールを定義する にアクセス
- 「認証済みユーザー」ロールを編集
- 以下の権限を 抑制 に設定:
moodle/user:manageownfiles
(自分のファイルを管理)repository/user:view
(ユーザーリポジトリの表示)
- 変更を保存
手順2: 教師ロールで再度有効化
- 同じ画面で「編集権限のある教師」ロールを編集
- 以下の権限を 許可 に設定:
moodle/user:manageownfiles
repository/user:view
- 変更を保存
手順3: その他のロールでも有効化
必要に応じて、以下のロールでも同様に 許可 に設定:
- 編集権限のない教師
- マネージャー
- その他の教員用ロール
「抑制」は下位のコンテキストで「許可」に設定することで上書きできるため、まず認証済みユーザーで「抑制」に設定してから、必要なロールで「許可」に設定する手順が必要です。
上手にプライベートファイルを活用してください。