Moodleのフォーラム活動は、学生とのディスカッションを促進する強力なツールです。
本記事では、各フォーラムタイプの特徴と使い分けを解説します。
フォーラムタイプの違いと選び方
1. 一般利用のための標準フォーラム(デフォルト)
特徴:
- 学生が自由に新しいディスカッションを開始できる
- 複数のトピックが並行して進行可能
- 最も柔軟性が高い

このようなときに使います
- 学生主導のディスカッションを促したいとき
- 複数のテーマについて自由に話し合いたいとき
- コミュニティ形成を重視するとき
2. トピック1件のシンプルなディスカッション
特徴:
- 教師が1つの質問を投稿し、学生はそれに返信するのみ
- 学生は新しいトピックを立てられない
- 注意:分離グループモードでは使用不可

このようなときに使います
- 特定のテーマに議論を集中させたいとき
- 教師からの問いかけに対する意見を集めたいとき
- 議論が散漫になるのを防ぎたいとき
3. Q&Aフォーラム
特徴:
- 学生は自分が投稿するまで他の学生の投稿を見られない
- 投稿後、編集時間(デフォルト30分)が終了すると他の投稿が表示される
- 独立した思考を促す仕組み

このようなときに使います
- 他の意見に影響されずに考えてほしいとき
- 課題の答えを先に見せたくないとき
- 独自の視点を持つことを重視するとき
4. ブログフォーマットで表示される標準フォーラム
特徴:
- 機能は一般利用の標準フォーラムとほぼ同じ
- 表示形式のみが異なる(各ディスカッションがブログ記事のように表示)
- 「このトピックについて議論する」ボタンで返信へ進む

このようなときに使います
- 視覚的に整理された表示を好むとき
- 長文の初期投稿を読みやすく見せたいとき
- ブログのような雰囲気で議論したいとき
5. 各人が1件のディスカッションを投稿する
特徴:
- 各学生が1つのディスカッションのみ開始できる
- その後は他の学生のディスカッションに返信可能
- 全員が主体的に話題を提供する仕組み

このようなときに使います
- 学生全員に必ず1つのテーマを投稿させたいとき
- プレゼンテーションや研究テーマの共有
- 学生一人ひとりの意見や作品を発表させたいとき
投稿までの制限時間について
学生は一度投稿した後、デフォルトで30分以内であれば編集が可能です。この時間は管理者がサイト管理のセキュリティ設定で変更できます。
- 教師はいつでも自分の投稿を編集可能できます。
- 「編集遅延時間なしにフォーラム投稿通知を送信する」オプションを使用すると、編集時間を待たずに即座に通知を送信できる
この編集猶予期間は、誤字脱字の修正や表現の改善に役立ちますが、Q&Aフォーラムでは編集時間終了後に他の投稿が表示される仕組みと連動している点に注意が必要です。
教員にとって便利な機能
- ピン留め: 重要なディスカッションを常に上部に固定
- ディスカッションのロック: 一定期間(1日〜1年)活動がないと自動ロック設定が可能
- プライベート返信: 個別指導が必要な学生に非公開で返信
- ディスカッションの移動・分割: トピックがずれた議論を整理
グループ機能の活用
分離グループモードでは、「すべてのグループにコピーを投稿する」にチェックを入れることで、全グループに同じディスカッションを一度に展開できます。
これにより、同じ内容を複数回投稿する手間が省けます。
効果的な運用のポイント
フォーラムを成功させるには、教員の適切な関与が重要です:
- ディスカッションに適切なタイミングで参加する
- 学生が議論から逸れたらアイデアをまとめる手助けをする
- 徐々に学生に主導権を委ねていく
フォーラムタイプを目的に応じて使い分けることで、より効果的なオンライン学習環境を構築できます。