Moodleのバッジ機能は、学習者の達成を可視化するだけでなく、管理者にとって強力な管理・分析ツールとしても活用できます。本記事では、管理者の視点からバッジ機能の設定方法と効果的な活用方法について解説します。
バッジ機能の基本設定
サイト管理でのバッジ機能有効化
バッジ機能を使用するには、まずサイト全体でバッジ機能を有効にする必要があります。
設定手順:
- サイト管理 > 一般 > 拡張機能
- 「バッジを有効にする」にチェックを入れる(デフォルトでYesになっています)
- 変更を保存

バッジの作成と管理
バッジは以下の場所で作成・管理できます:
- サイトバッジ: サイト管理 > バッジ > サイトバッジの管理
- コースバッジ: コース管理 > バッジ
- サイト管理 > 一般 > バッジ設定 > コースバッジを有効にする で設定をします。(デフォルトでYesになっています)

サイトバッジは複数のコースにまたがって使用でき、コースバッジは特定のコース内でのみ有効です。
コースごとにバッジを授与するのであれば、コースバッジを選択するとよいでしょう。
バッジ画像の準備
バッジを作成する前に、バッジ画像を用意する必要があります。
推奨仕様:
- サイズ: 90×90ピクセル以上(正方形推奨)
- ファイル形式: PNG推奨(JPG、GIFでも可能)
- デザイン: 視認性が高く、目的が明確にわかるもの
デザインのポイント:
- 組織のブランドカラーやロゴを活用
- シンプルで分かりやすいアイコンを使用
- 文字を入れる場合は読みやすいフォントサイズで
バッジの作成手順
ステップ1: コースでのバッジ作成開始
- バッジを設定したいコースを開く
- コースメニューから「さらに」を選択
- 「バッジ」をクリック
- 「新しいバッジを追加する」ボタンをクリック
ステップ2: 基本情報の設定
詳細タブでの設定項目:
- 名前: バッジの名称(例:「〇〇コース完了証」)
- バージョン: バージョン管理用(例:v1.0)
- 言語: バッジが表示される言語
- 説明: バッジの取得条件や意味の説明
- 画像: 事前に準備したバッジ画像をアップロード
- 発行者名: 組織名または部署名
- 発行者連絡先: メールアドレス(オプション)
ステップ3: クライテリア(授与基準)の設定
「クライテリア」タブで授与方法を選択します。

1. コース完了による自動授与
設定方法:
- 「コース完了」を選択
- 対象となるコースを指定(現在のコースまたは他のコース)
- 必要に応じて最低評点や完了日の範囲を設定
適用例:
- 研修コース修了証
- 必修教育完了バッジ
- カリキュラム完了認定
2. 活動完了による自動授与
設定方法:
- 「活動完了」を選択
- 対象となる活動を選択(課題、クイズ、フォーラム、SCORM等)
- 複数活動の場合:「すべての活動を完了」または「いずれかの活動を完了」を選択
- 必要に応じて最低得点や提出期限を設定
適用例:
- 課題提出バッジ
- 小テスト合格バッジ
- 参加型学習バッジ
3. ロールによる手動授与
設定方法:
- 「手動授与(ロール別)」を選択
- 授与権限を持つロールを指定(教師、コース作成者、管理者等)
- バッジ作成後、対象学習者を個別に選択して授与
適用例:
- 特別貢献賞
- 優秀学習者認定
- ピアサポート表彰
ステップ4: メッセージ設定
メッセージタブでの設定:
- バッジ授与時に送信されるメッセージ内容をカスタマイズ
- 件名と本文を設定
- プレースホルダー({badgename}、{username}等)を活用できる
ステップ5: バッジの有効化
すべての設定が完了したら:
- 「バッジを有効にする」をクリック
- 設定内容を最終確認
- 有効化を実行
バッジ取得者一覧の確認と活用
Moodleのバッジ機能では、取得者の状況を効率的に確認できます。
確認手順:
- コース内で「さらに」→「バッジ」
- 対象バッジの「管理」をクリック
- 「取得者」を選択
- 取得者一覧が表示される

表示される情報:
取得者名、取得日時
この一覧をExcelなどに張り付けてご活用ください。
注意点:コースコピー時の制限
バッジ機能を利用する際に理解しておくべき重要なポイントがあります。コースをコピーする際、バッジ設定は新しいコースに引き継がれません。
これは以下の理由によるものです:
- バッジは特定のコースIDと紐づいて管理されている
- 重複授与を防ぐセキュリティ機能
- 各コースの独立性を保つシステム設計
まとめ
Moodleのバッジ機能は、学習者のモチベーション向上と学習効果の最大化を実現する優れたツールです。適切に設計・運用することで、学習体験を大きく向上させることができます。
コースコピー時にバッジ設定が引き継がれないという制限はありますが、この制限を上回る多くのメリットがあります。バッジ機能を活用して、より魅力的で効果的な学習環境を構築することをお勧めします。