前回は、削減効果の高いバックアップファイルの整理方法を紹介しました。
大きなファイルが整理できたら、次に取り組みたいのが「地味に積み重なる領域」の整頓です。

今回は、意外と見落とされがちな以下の3つの領域に焦点を当てます。

  • ゴミ箱
  • プライベートファイル
  • 不要なリポジトリ

これらは少しずつ蓄積し、気づくとサーバー容量を圧迫している典型的な「スモールストレージ問題」です。


1. ゴミ箱機能の設定

Moodleのゴミ箱機能は、誤って削除したファイルを復元できる便利な機能です。
しかし、削除したファイルを一定期間保持し続けるため、知らず知らずのうちに容量を圧迫しています。

設定場所

管理 > 管理ツール > ごみ箱

推奨設定

ゴミ箱の保持期間を短縮

  • デフォルト:7日間
  • 推奨:3日間または1日間

短縮することで、削除されたファイルがより早く完全削除され、容量を節約できます。

ゴミ箱を無効化する選択肢

削除したファイルはゴミ箱には入らず、即座に完全削除されます。
容量削減の効果は大きいですが、誤削除時のリスクが高まるため注意が必要です。

組織の運用方針を確認した上で、慎重に判断してください。


2. プライベートファイルの運用管理について考える

ユーザーの「プライベートファイル」は、一見目立ちませんが、意外と容量を使っています。
特に、ユーザー数が多いサイトでは、プライベートファイルの合計が大きな容量になっていることがあります。

プライベートファイルの容量を制限する

ユーザーごとのプライベートファイルの容量上限を設定できます。

設定場所

管理 > セキュリティ > サイトセキュリティ設定 > プライベートファイルスペース

ここで上限を設定することで、個別ユーザーの使用量を制限できます。

プライベートファイル機能を無効化する

組織の方針として、プライベートファイルを使用しない場合や、容量・セキュリティの理由で制限したい場合は、以下の手順で機能を無効化できます。

設定場所

管理 > プラグイン > リポジトリ > プライベートファイル

ここから「無効」または「無効かつ非表示」に設定することで、プライベートファイル機能を無効化できます。

注意: プライベートファイル機能は、実は学生よりも教員・事務担当者が教材を大量にアップロードしているケースが多いです。

第1回でご紹介したカスタムレポートのユーザーファイル使用量確認機能を活用して、利用状況をよく確認してから判断することをおすすめします。


3. 不要リポジトリの整理

プライベートファイル以外にも、使用していないリポジトリがあれば無効化しましょう。
昔からの名残で今は使用されていないものが有効化のままになっているケースもあります。

設定場所

管理 > プラグイン > リポジトリ > リポジトリを管理する

URLダウンローダー

外部ウェブサイトの画像URLを入力して、Moodleサーバーに直接コピーする機能です。

  • 画像をMoodleサーバーに保存するため、使用すればサーバー容量を消費します
  • 著作権の問題もあるため、組織で使用していなければ無効化を検討してください

Wikimedia

Wikimediaから画像を検索できる機能ですが、使用していなければ無効化できます。

その他のリポジトリ

以下のようなリポジトリも、使用していなければ無効化を検討してください:

  • サーバファイル: 他のコースのファイルにアクセスする機能(編集権限があるコースのみ)
  • 埋め込みファイル: コース内の活動に埋め込まれたファイルへのリンク

使用状況を確認した上で、不要なものは「無効」に設定しましょう。


ポイント

  • ゴミ箱保持期間の短縮は即効性のある対策
  • プライベートファイルは地味に溜まりやすい
  • リポジトリは「昔の名残」が容量やパフォーマンスに影響することも
  • 小さな積み重ねを放置すると大きな容量問題になる

次回は、「これ以上増やさないための設計」について解説します。

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