前回の記事では、ストレージ容量削減の第一歩として「どこに容量が使われているか」を把握する方法をご紹介しました。
現状が見えてくると、次に気になるのが「何から削減するべきか」ですよね。
そこで第2回では、最も削減効果が大きいバックアップファイルの整理を取り上げます。
気づかないうちに数GB単位で蓄積していることが多く、最初に取り組むだけで大きな効果が得られます。
1. なぜバックアップが容量を圧迫するのか
Moodleでは、以下のような複数のタイミングでバックアップファイルが生成されます:
- 自動バックアップ
- 手動バックアップ
- コース複製時のバックアップ残骸
特に自動バックアップ設定によっては、「全コースのバックアップを毎週保存し続けている」といった状態になり、容量を数十GB消費してしまうこともあります。
参考記事:Moodleのコースバックアップファイルを整理する
この記事では、バックアップファイルの確認方法と削除方法が詳しく解説されています。
2. 自動バックアップ設定の見直し
Moodleの自動バックアップ機能は便利ですが、設定によっては大量のバックアップファイルが蓄積されていきます。
設定を見直すだけで、大幅な容量削減が期待できます。
設定場所
サイト管理 > コース > バックアップ > 自動バックアップ設定
2-1. バックアップの保持期間を短く設定する
デフォルトでは長期間保存される設定になっていることがあります。
本当にそこまで長期間のバックアップが必要でしょうか?
以下の設定を組み合わせることで、効率的にバックアップを管理できます:
- バックアップ最大保持数: それぞれのコースで保持する最新バックアップの最大数
- 次より古いバックアップを削除する: 指定日数より古いバックアップを自動削除
- バックアップ最小保持数: 古いバックアップが削除されても、最低限残しておくファイル数
たとえば、「バックアップ最大保持数:2」「次より古いバックアップを削除する:30日」「バックアップ最小保持数:1」と設定すれば、30日より古いバックアップは削除されますが、どんなに古くても最低1ファイルは残ります。

2-2. 不要なコースは自動バックアップから除外する
すべてのコースを自動バックアップする必要はありません。
以下の設定を活用することで、不要なコースのバックアップをスキップできます:
- 非表示コースをスキップする: 非表示に設定されたコースをバックアップ対象外にする
- 次の期間更新されていないコースをスキップする: 指定日数(デフォルト30日)更新されていないコースを対象外にする
- 前回のバックアップから更新されていないコースをスキップする: 前回バックアップ以降に変更がないコースを対象外にする
古いコースや、もう使用していないコースは、これらの設定で自動的に除外されます。

2-3. 自動バックアップ自体を無効化する選択肢も
運用に余裕があれば、自動バックアップを無効化して、必要なコースだけ手動でバックアップする方法もあります。
ご注意
- 重要コースの手動バックアップの運用ルール策定
- 外部バックアップツールの活用
- サーバーレベルでのバックアップ体制の確認

3. 古いバックアップファイルの削除
自動バックアップの整理
既に蓄積してしまった古い自動バックアップファイルについては、上記の設定(特に「次より古いバックアップを削除する」と「バックアップ最大保持数」)を適切に設定することで、次回の自動バックアップ実行時に自動的に整理されます。
手動バックアップの整理
注意: 手動で作成されたバックアップファイルは、自動削除の対象になりません。
手動バックアップが大量に蓄積している場合は、以下の対応が必要です。
- 教師への周知: 不要になったバックアップは削除するよう依頼
- 定期的な確認: カスタムレポートで大容量ファイルを特定し、必要に応じて削除を依頼
- 運用ルールの策定: 「手動バックアップは○ヶ月保持したら削除」などのルール化
全コースのバックアップを手作業で整理するのは現実的ではありません。自動バックアップ設定による自動整理を活用し、手動バックアップについては運用ルールで対応しましょう。
ポイント
- 最初に手をつけるべき削減ポイントはバックアップ
- 自動バックアップの設定が容量逼迫の原因になっていることも多い
- 設定を見直せば、古い自動バックアップは自動的に整理される
- 手動バックアップは運用ルールで管理する必要がある
次回は「ゴミ箱・プライベートファイル・不要リポジトリ」など、地味だけれど確実に蓄積する領域の整理方法をご紹介します。

