Moodleの通知機能は、学習活動のあらゆる出来事を参加者に届ける重要な仕組みです。このガイドでは、通知の全体像と設計の考え方を解説します。フォーラムのメール設定手順や特定教師への通知の詳細については、それぞれ別記事でくわしく扱っています。

通知の仕組みを理解する

Moodleの通知は「メッセージプロバイダ(Message providers)」と呼ばれるシステムを中心に動いています。各プラグインやコア機能がプロバイダを通じてイベントを発火し、設定に応じてポップアップ・メール・アプリプッシュなどの手段でユーザーに届けられます。

通知の配信経路(プロセッサ)

通知がユーザーに届くまでの経路を「プロセッサ(Processor)」と呼びます。標準でサポートされている主な配信手段は以下のとおりです。

プロセッサ説明
メール最も汎用的な手段。すぐに配信するか、一定時間ごとにまとめて配信(ダイジェスト)するか選択できる
ポップアップMoodleにログイン中のユーザーに対して、画面右上のベルアイコンで通知をリアルタイム表示する
モバイルアプリMoodle公式アプリ(iOS/Android)を利用している場合のプッシュ通知
Jabber/XMPPプラグインで追加可能なインスタントメッセージ配信(一般的な用途では使用頻度は低い)
Information

メール通知を利用するには、サイト管理 > サーバー > メール > 送信メール設定でSMTPサーバーを正しく設定する必要があります。設定が未完了の場合、通知はMoodle内にのみ表示され、メールは届きません。

通知とメッセージの違い

Moodleには「通知(Notifications)」と「メッセージ(Messages)」の2種類の連絡手段があります。混同されやすいため、違いを整理しておきましょう。

種類内容
通知システムが自動で送信するもの。課題の提出、フォーラムへの投稿、バッジの獲得など
メッセージユーザー同士がやり取りするプライベートなチャット機能。教師から学習者への個別連絡にも使われる

管理者向け:サイト全体の通知設定

通知設定の確認場所

サイト全体の通知に関する設定は以下の場所で管理します。

  • サイト管理 > メッセージ > 通知設定
  • サイト管理 > メッセージ > メッセージプロバイダの設定(各プラグインの通知ON/OFF)
  • サイト管理 > サーバー > メール > 送信メール設定

デフォルトの通知設定を変える

管理者はユーザーごとの初期値となる「デフォルトの通知設定」を定義できます。サイト管理 > メッセージ > 通知設定を開くと、通知タイプ別に「ポップアップ」「メール」それぞれのデフォルト状態(オン/オフ)と、ユーザーが変更できるかどうかを設定できます。

項目内容
設定できることデフォルトのON/OFF、ユーザーによる変更の許可/禁止
対象フォーラム投稿通知、課題フィードバック、バッジ取得、コース登録など通知タイプ別に設定可能

管理者がやっておきたい初期設定チェック

  • フォーラム投稿のメール通知は、受講者数の多いコースではデフォルトOFFにしておくことを検討する
  • 「ダイジェスト形式」をデフォルトにすると、通知が1日1回にまとめられる
  • モバイルアプリ通知はアプリ利用ユーザーのみ有効になるため、サイトの利用状況に合わせて設定する

メールダイジェストの設定

フォーラムの投稿通知は件数が多くなりやすいため、「ダイジェスト」形式の活用が特に効果的です。ダイジェストには「通知なし」「ダイジェスト(完全)」「ダイジェスト(件名のみ)」の3モードがあります。

管理者によるデフォルト設定変更の具体的な手順は、以下の記事でくわしく解説しています。
📄 関連記事Moodleのフォーラムメール通知設定を変更する方法各ダイジェストモードの詳細と、管理者・学習者それぞれの設定変更手順を解説

なお、ダイジェストメールの送信時刻はスケジュールタスク「mod_forum > send_user_digests」で制御されています。通知が届かない・遅延する場合はタスクの状態も確認しましょう。

アナウンスメントの強制購読に注意

コースやフォーラムの設定によっては、ユーザーが通知をオフにできない「強制購読」が設定されることがあります。特に「アナウンスメント(お知らせ)フォーラム」は初期状態で強制購読になっており、変更しない限りすべての受講者に通知が届き続けます。

注意
  • 各コースに初期作成されるアナウンスメントフォーラムはデフォルトで「強制購読」です
  • 投稿のたびに全受講者に通知が届くため、「通知が多すぎてうるさい」と受講者から言われることがあります
  • 重要なアナウンスに絞って使うなど、運用ルールを事前に決めておくことが大切です
  • 「強制購読」の変更は教師またはサイト管理者がフォーラム設定から行えます

教師向け:コース内の通知設定

フォーラムの購読設定

フォーラムの通知は「購読(Subscribe)」という概念で管理されています。購読しているフォーラムに投稿があると、メール通知が届きます。教師はフォーラム作成時または設定編集時に購読モードを変更できます。

購読モード内容
任意購読受講者が自分で購読するかどうかを選べる(デフォルト)
自動購読参加者が自動的に購読状態になるが、あとから解除できる
強制購読全員が強制的に購読させられ、解除不可
購読不可誰も購読できず、メール通知は届かない

フォーラム通知の使い分けTips

  • 重要な連絡用フォーラムには「強制購読」を使い、確実に全員に届けるようにする
  • 活発な意見交換を促すディスカッションフォーラムは「任意購読」にして、通知の多さで受講者が参加をためらわないようにする
  • 課題のフィードバックや評価通知はフォーラムの購読設定とは独立した仕組みで動くため、別途確認が必要

課題フィードバックの通知と、特定教師への通知

教師が採点してフィードバックを返すと、Moodleは自動的に学習者に通知を送ります。また、複数の教師がいるコースでは、課題提出通知はデフォルトですべての教師に届きます。「担当グループの提出だけ通知を受け取りたい」という場合は、分離グループと編集権限のない教師ロールを組み合わせることで対応できます。

詳細な設定手順は以下の記事で解説しています。
📄 関連記事特定の教師だけに課題提出通知を送る分離グループと「編集権限のない教師」ロールを組み合わせた設定方法を解説


学習者向け:通知プレファレンスを使いこなす

通知プレファレンスの変更方法

ユーザー自身が通知の受け取り方を変えるには、画面右上のアバターアイコンから「プレファレンス」を開き、「通知プレファレンス」で各通知タイプのON/OFFを設定します。

フォーラムのメールダイジェスト設定も同じプレファレンスから変更可能です。具体的な操作手順は以下の記事をご覧ください。
📄 関連記事Moodleのフォーラムメール通知設定を変更する方法学習者自身がダイジェスト設定を変更する手順を画面つきで解説

フォーラム購読を一覧で管理する

フォーラム個別の購読ON/OFFは、各フォーラムを開いたときに表示される「購読する」「購読解除」のリンクから変更できます。ただし「強制購読」のフォーラムは変更不可です。

コースをまたいで自分の購読状況をまとめて確認したい場合は、プレファレンス > フォーラムの購読が便利です。購読中のフォーラムが一覧表示されるため、不要なフォーラムをまとめて解除できます。


通知を活かすための実践Tips

通知が多すぎると言われないために

通知の頻度が高すぎると、「通知が来すぎてうるさい」と受講者から言われることがあります。また、大量の通知の中に重要な連絡が埋もれてしまうリスクもあります。以下のような工夫で「通知の質」を高めましょう。

通知設計のコツ

  • 「必ず読んでほしい連絡」と「参考情報」でフォーラムを分け、用途に合った購読モードを使い分ける
  • 重要なアナウンスはアナウンスメントフォーラム(強制購読)に一本化し、日常的な投稿との区別を明確にする
  • コース開始時のオリエンテーションで通知設定の変更方法を受講者に案内すると、不満が減りやすい
  • ダイジェスト設定の推奨値を受講者に伝えることも効果的

通知を学習促進に活かす

通知は「情報を届ける」だけでなく、学習参加を促進するツールとしても機能します。Moodleにはバッジ獲得通知や学習完了通知など、ポジティブなフィードバックを伝える通知もあります。

  • コース完了条件を設定しておくと、達成した学習者に自動で完了通知が届く
  • バッジを設定することで、特定の活動を完了した際にバッジ取得通知が届き、モチベーション維持につながる
  • フォーラムへの返信通知を活用することで、投稿への参加意欲を高めることができる

スケジュールタスクと通知の遅延

Moodleの一部の通知(ダイジェストメールなど)はスケジュールタスク(cron)によって定期的に処理されます。通知が届かない・遅延するなどのトラブルが起きた場合は、まずサイト管理 > サーバー > タスク > スケジュールタスクで関連タスクの状態を確認しましょう。

通知の種類関連スケジュールタスク
フォーラムのダイジェスト送信mod_forum > send_user_digests
即時メール送信キューの処理core > send_failed_messages_again など
モバイルアプリ向けプッシュ通知message_airnotifier > send_message_notifications

よくあるトラブルのチェックリスト

通知が届かないとき

  • SMTPサーバーの設定が正しいか確認する
  • ユーザー個人の通知プレファレンスでメール通知がONになっているか確認する
  • スケジュールタスクが正常に動作しているか確認する
  • ユーザーのメールアドレスがプロフィールに正しく登録されているか確認する
  • サーバーのスパムフィルタによりブロックされていないか確認する

通知が多すぎると言われたとき

  • アナウンスメントフォーラムの購読モードが意図せず「強制購読」になっていないか確認する
  • 受講者に個人のダイジェスト設定の変更方法を案内する
  • サイト全体のデフォルト通知設定でフォーラム投稿のメール通知をデフォルトOFFに変更する

通知は多すぎても少なすぎても学習効果に影響します。「通知が来すぎて煩い」という声が上がる前に設計を見直し、コースの規模や目的に合った運用を続けることが大切です。

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